住まいの情報サイト「おうち*くらぶ」
HOMEおうちを考えるおすすめインテリア花のある生活みなさんの声プレゼント&アンケートスタッフルーム
おうちを考える:think about home
住宅の外観デザインを考える〜フランク・ロイド・ライトの住宅〜 研究所スタッフ:一級建築士・ケイ
今回はアメリカの有名な建築家フランク・ロイド・ライトが設計した住宅を紹介しながら外観デザインを考えたいと思います。
ライトの住宅を見ていただく事で、みなさんが住宅を新築される際、外観デザインの考え方の参考になれば幸いです。
住宅の新築を考える時、「どんな間取りにしようか?」「どんな外観にしようか?」と悩む方も多いはずです。
一般の方がゼロから設計やデザインを決めていくことはなかなか難しいので、何か参考になる物件や写真をもとに自分のイメージを膨らませる事になります。
住宅雑誌などをパラパラとめくりながら、流行しているデザイナーズ系やあこがれの輸入住宅風などを選んで「こんな風にして下さい」と住宅会社に依頼する場合が多いのではないでしょうか?
住宅は安易に流行を追い求めると、住んで5年もすると古びた感じになってしまい後悔する事もあります。
住宅は一過性のものではなく20年、30年と長く住むものなので、デザインや間取りは出来ればじっくり考えたいものです。

そんな時、新しい住宅を見るのも良いのですが、温故知新ではありませんが、ご紹介するライトの住宅からデザインのエッセンスを拾い出してみても良いと思います。
イメージ
■「住宅設計・デザインの原点」
イメージ

アメリカが生んだ建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867〜1959)は住宅設計をする者なら、知らない人はいないくらい大変有名な建築家です。 日本では旧帝国ホテルの設計者として知られるライトは、「設計・デザインの原点」とも言えるような住宅を多数設計し、多くの設計者に影響を与えています。 アメリカ・シカゴの郊外、オークパークと隣接するリヴァーフォレストには、彼が設計し1900年〜1910年頃に竣工した25の建物が現存しており、現在も実際に人が住んでいます。
私が現地を訪れた時の写真を使って(ほんの一部ですが・・・)、ライトの住宅を紹介していきたいと思います。
100年以上も前の住宅なのにデザイン思想がしっかりしているため古びた感じがしない素敵な住宅です。

Pagetop

■F.L.ライトの住宅

1.ハートレー邸(1902年竣工)【写真1〜4】
ライトが設計活動を始めた初期の代表的な住宅です。
どっしりとした構えの背が低く見える建物で、深い軒・緩勾配の屋根・落ち着いたレンガの壁が特長的です。

このハートレー邸などライト初期の住宅群はひとつの特長があって、「プレーリースタイル」と呼ばれています。
「プレーリー」とは「平原」の意味でこれらの住宅には次のような特長があります。

1.自然と融合して一体となるように地を這うような低い安定したデザイン 2.低く押さえられた屋根や幕板・連続窓による水平線を強調したデザイン

現代にも通じる設計コンセプトですね。
設計意図通り周囲の景観とも調和してしっとりと溶け込んでいる様子が、写真からもわかると思います【写真2】。
尚、邸名は竣工当時のお施主さんの名前で現在は違う方が住んでいます。

【写真1】 【写真2】
【写真1】 【写真2】

玄関周りのアーチ型の門構え【写真3】。
玄関は入り組んだ外構塀に遮られてプライバシーが守られています。
建物中央部のステンドグラスが入った連続窓が素敵ですね【写真4】。

【写真3】 【写真4】
【写真3】 【写真4】

2.ウィンズロー邸(1893年竣工)【写真5・6】
総2階的な単純な形にもかかわらず非常にバランスのとれた端正なフォルムの大変有名な住宅です。
100年以上も前に完成した建物にもかかわらず、シンメトリーの美しいデザインは今も色あせていません。
2階建てに見えますが実は一部3階建てで写真で受ける印象よりもたいへん大きな建物で
(玄関ドアの大きさから全体の大きさが想像できると思います…)、やはり設計意図通りに見る人に威圧感など与えない街の住環境に優しい住宅と言えます。
黒く見える2階の壁は繊細なレリーフが施されています。

【写真5】 【写真6】
【写真5】 【写真6】
 
Pagetop
3.トーマス邸(1901年竣工)【写真7〜9】
この住宅も2階建てに見えますが、やはり3階建てです。

3階建ての場合、高さばかりが目立って街並みにそぐわない住宅が多いのですが、このトーマス邸の場合は軒のラインを長く取り、幕板を2重3重に廻し、同じ大きさの窓を連続して配置するなどして水平ラインを強調し、横に長く見えるような工夫をしています。

【写真7】
【写真7】

深い軒を演出する方法として外壁を一部セットバックしていて【写真8】【写真7の○部分】、効果が現れているのがわかると思います。 ハートレー邸とも共通する玄関部のアーチはこの頃のライトが好んで取り入れたスタイルです。
連続窓と精巧なステンドグラスは初期のライトの住宅の特長のひとつです【写真9】。

【写真8】 【写真9】
【写真8】 【写真9】

4.ロビー邸(1909年竣工)【写真10〜12】
ライトが提唱する「プレーリースタイル」住宅の代表的な建物です。
上の3邸とは違いこの建物はシカゴのダウンタウンあり、現在はシカゴ大学の所有物として大学構内で保存されていますが、敷地は竣工当時、新興住宅地だったそうです。

上に紹介した住宅以上に長い軒と連続窓によって水平ラインが強調されているのは勿論、テラスを囲い込んだ外構塀によって3階建てにもかかわらず敷地との一体感があるデザインになっています【写真10・11】。

【写真10】 【写真11】
【写真10】 【写真11】

【写真12】はテラス側から見た室内です。
ライトは住宅を設計する時にチェアやテーブル、照明器具などのもその建物に合わせて設計する場合が多く、この建物もオリジナルでデザインされています。

ライトの照明器具はレプリカが販売されていてTVドラマのインテリアに使われていたりするので、見た方も多いのではないでしょうか?

【写真12】
【写真12】
 
Pagetop
■日本で見られるF.L.ライトの建築

F.L.ライトの建築作品は日本でも見ることが出来ます。
私の知っている限り東京・目白の自由学園明日館【写真13】、神戸・芦屋のヨドコウの迎賓館、そして愛知県・明治村の帝国ホテル・エントランス部の3物件です。

【写真13】 このうち住宅はヨドコウの迎賓館のみです。この建物は大正年間、灘の酒造家・山邑(やまむら)氏の別邸として計画されたもので、ライトの活動期間後期の住宅なので上に紹介した「プレーリースタイル」とはだいぶ趣きが異なります。国の重要文化財に指定されています。
一般公開されていますのでどなたでも見学可能です。
また、自由学園明日館も同じく一般公開されていますが、曜日により見られる所が違いますので、予め確認ください。
【写真13】

自由学園明日館、ヨドコウ迎賓館ともにHPがありますので興味のある方は参照下さい。
自由学園:http://www.jiyu.jp/
ヨドコウ迎賓館:http://www.yodoko.co.jp/geihinkan/


 

Pagetop

1993年と2000年の2回オークパークを訪れましたが、スケジュールの都合で2回とも2月でした。
写真が雪景色ですが、シカゴの2月はとても寒く、1993年の出張報告を見直してみると当日はマイナス14℃だったと書いてありました。
雪で敷地と建物の関係が曖昧になってしまい、ちょっと残念です。

イメージ

右は笠木にビニールシートをかぶせて雪から建物を保護している写真です。
現在の住人もこの文化財級住宅の貴重な価値を充分理解し、大事に住んでいる証拠ですが、維持保全や修復に労を惜しまない方が多いそうです。

ライトは壮年期にシカゴ郊外のここオークパークを拠点に設計活動をし、この街に多くの作品を残しました。
因みにオークパークはもうひとり、有名な人物を輩出しています。
「老人と海」のヘミングウェイ・・・、誕生から少年期までをここで過ごしたそうです。
オークパークとはそんな文化人が住んだ静かな街です。

※写真はイメージを含みます。必ずしも説明文と一致するものではありません。
※申し訳ありませんが、記載された住宅の設計についてのご質問や個別の住宅設計のご相談には応じかねますので予めご了承ください。

このサイトを友達に教える
HOME 「おうち*くらぶ」とは ご利用条件 ご意見メール 個人情報について サイトマップ
詳しくはこちらをクリック!
フィアスホームトップページ  
 
おうちを考える:快適生活のために
地震に備える
子供とのコミュニケーションを考える その2