まず、いただいたご意見の一部をご紹介させていただきます。
「階段の場所の取り方と親子のコミュニケーションについて、出来れば特集を組んでいただけるといいなぁと思いました。よろしくお願いします」(福島県・34歳) このようなご意見を参考に、子どもとのコミュニケーションを考えた住まいについて話を進めます。 |
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■階段ホールの書斎、勉強コーナー | |||||||||||
親子のコミュニケーションというと、リビング、ダイニング、キッチン(オープンキッチン)などが取り上げられる場合が多いのですが、上のご意見に関連して階段に絡んだコミュニケーションのとり方の実例をご紹介していきます。 | |||||||||||
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その当時の日本の住宅では、書斎というと寝室の一部にあって、せっかく計画しても、結局使われず物置になっているという例が多かっただけに、こういった仕掛けは新鮮な感じがしました。 | |||||||||||
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さて、【写真4〜7】は私どもで計画した住宅です。 リビングの吹き抜けを介して、階段、2階の回廊式の廊下、スタディコーナーを一体にして、家族が自然とコミュニケーションを取る事が出来るように間取り・空間構成を考えたものです。 学校や塾帰りのお子さんは、必ず1階のお母さんがいるリビングダイニングから階段を昇り(【写真5】)、2階に上がり(【写真7】)、スタディコーナーにいる兄弟やお父さんに目をやり(【写真4】)、自分の部屋に入る。また、スタディコーナーにいるお父さん・兄弟もその雰囲気を察する。そんな動線になっています。写真と図面を見ていただきながら家族の動きを追っていただくと、そんな意図がご納得いただけると思います。 余談ですが、こんな大きな吹き抜けを作ると冷暖房効率が悪くて快適な生活が難しいのでは・・・?とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、「おうちを考える」の「これからのエコな住まい」でも触れた高気密・高断熱住宅では換気計画・冷暖房計画をキチンとする事で一般住宅に比較して快適に過ごす事が出来ます。 |
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■動線の途中に工夫をこらす | |||||||||||
住宅メーカーのカタログなどを見ると、“家族図書館”などと称して吹き抜けのある大きな空間で床から天井までの作りつけの本棚があるお部屋があって、お父さんがはしごなどに登って下にいるお子さんとにこやかに会話をしている写真などがのっていたりします。 |
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上の“家族図書館”ではありませんが、親子のコミュニケーションを考える場合、大上段に構えて何か大掛かりな仕掛けをしたり、新たな個室を設える場合はないと思います。 「和モダンの住まい」で書いたように回遊動線にして、常にお母さんの近くにいる状態を作るとか、部屋を移動しながらお気に入りの場所で勉強をするなど、ちょっとした工夫や人の側の行動でコミュニケーションの機会は増えていくものです。 今回とりあげた階段踊り場のスタディコーナーや本のスペースなど、家族みんなが通る動線の途中にちょっとした仕掛けをするだけで自然とコミュニケーションの度合いはアップするはずです。 子どもはあっという間に大きくなってしまいます。 いっしょに生活する時間を大事にして、大いにコミュニケーションをとって、りっぱな大人に成長してもらいたいものですね。 |
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※写真はイメージを含みます。必ずしも説明文と一致するものではありません。 ※申し訳ありませんが、記載された住宅の設計についてのご質問や個別の住宅設計のご相談には応じかねますので予めご了承ください。 |
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