昨今、住宅を新築する方の中心が20代後半から30代になっているせいか、本格的な和室のニーズが少なくなり肩の凝らないモダンな和室が好まれるようになっているようです。 そんなニーズに応えて設計した和室を3例ご紹介していきます。
【写真1】はコンパクトな6帖の和室です。 シンプルでモダンに仕上げる場合には装飾的な要素が少なくなり、いいかげんなディテールだと、安っぽくやぼったいイメージになりがちです。 細かな所にも気を遣いたいものです。
使う材料を絞り、襖・障子のタテヨコのライン・枠の厚みを揃えて、床の間はゴテゴテせずスッキリした踏み込み床、タタミは縁なしの琉球畳風にしています。 また、6帖の和室ながら少しでも広く感じられるよう天井は半間の床の間、押し入れの上まで通しで計画して7.5帖分の広さがあるようにしています。
洋室でもそうですが、エアコンの既製のグリルが剥き出しになっているのは特に和室では興ざめですので特注でルーバーを製作してこの部屋になじんだデザインにしています。
【写真5、6】のテーマは木の感触を感じる事が出来る「癒しのモダン和室」。 私は自然素材の荒々しさが住宅のインテリアに入ってくる事を好まないので、集成材の柱・梁をあらわしにしながらも適度に加工された木・紙などの素材を使い、人に優しい癒される空間作りを試みました。床の間の壁にはトミタの「こうぞ」を使い、照明には梁の形状・質感に馴染む器具をチョイスしながら、全体として柔らかな印象を受ける和室の計画になっています。
日当りの良い広縁にはモダンでありながら和の雰囲気のある家具を置いて、気軽にお友達とおしゃべりやお茶をしたり出来るよう設えています【写真8】。
写真が前後しますが和室と広縁の間には素通しの格子戸を入れ、2室を繋がり感のある空間にし開放的な演出をしています 【写真6、7】。
シンプルモダンの住宅の和室というと建築雑誌などでは「飛びすぎた」事例もまま目にしますが、ずっと住むには疲れてしまいそうで「どうかな」というものもあります。 新し過ぎず、古めかしくなくという加減が難しいところでもありますが、今回の特集がシンプルな住宅を計画されていて和室で迷っている方々の参考になれば幸いです。