住まいづくり研究所では、2007年6月20日より「子どもとのコミュニケーションと住まい」についてのアンケートを実施し、392名のミセスにご協力いただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
1)
子どもとのコミュニケーションをとりやすくするために、子どもを個室にこもらせない工夫をしているという意見をいただきました。そのような工夫をとりいれていますか?それはどのような工夫ですか?
●「子どもを個室にこもらせない工夫」は?
子どもを個室にこもらせない工夫を必要と感じているミセスは全体の80%に及びますが、実践している方は28%にとどまり、意識と実践との間にギャップがあることが確認されました。
近年来、子ども部屋の快適化がすすみ、引きこもりの原因になっているとする考え方があり、家族のコミュニケーションを充実させつつ、子ども部屋を与えたいとする考え方はあるものの、子どもを個室にこもらせない工夫を実際に「とりいれている」と回答したのは28%と低く、半数の52%が「今後とりいれたいと思う」と回答しています。引きこもりを防ぐ実際の行動について、手法を模索している姿が浮かび上がってきます。
家族構成別に見ると、第一子小学生層では、「とりいれている」という回答の比率が46%と他と比較して高くなっており、やはりこの時期の親子のコミュニケーションを重視する傾向がうかがえます。
快適なものは、リビングに集中。
(長男26歳・長女24歳・双子21歳(性別記入無))
テレビは絶対リビングに1つ。食事は家族揃って。
(長女19歳)
食事は同じ時に、宿題は皆同じ部屋でさせている。
(長男11歳・長女8歳・次男6歳・次女4歳)
食べ物、おやつはリビングでしか食べさせない。
(長男10歳・次男6歳)
●子どもの行動からみた、「子どもを個室にこもらせない工夫」とは?
言語データを「子どもの行動」という視点からみると、「快適なもの・テレビ・ゲームなどはリビングに集中」させる等、なるべく共有空間で子どもを行動させる工夫、「食事は家族揃って」等、家族のルールが見受けられました。
個室を快適空間にしないよう、狭くしてあります。
(長男14歳)
鍵をかけない、必要以上に快適にしない。
(長女12歳・長男8歳)
子供部屋の居心地をよくしない。たとえばエアコンをつけない、テレビを置かない。
(長男7歳・長女4歳・次女3歳)
鍵をつけない。2階にフリースペースを作って、勉強はそこでさせる。部屋に机を置かない。
(長女7歳・次女6歳)
我が家は扉でさえぎることができないので常に見える状態です。
(長女5歳)
机にベッド程度置ける広さが理想です。
テレビ、パソコンは勿論置かず、勉強に寝る場所で十分です。
(長男8歳・長女3歳)
テレビ・ゲームは個部屋でさせない。宿題もある程度の年齢までは母親のいるところでさせる。
(長男4歳)
●「子どもを個室にこもらせない、子ども部屋の工夫」とは?
言語データを「子ども部屋の工夫」という視点からみると、「鍵をつけない」等個室自体に施す工夫と、テレビ、パソコン等を個室に持ち込ませないことの大きく2つに分類されました。
2)
子ども部屋は、どこに設けると良いと思いますか?
リビングの近く
隠れてしまう雰囲気を作りたくないから。
(長女19歳)
近い方が声も届いてよいから
(長女18歳・長男16歳)
お互いが、安心できるし、お互いを思いやれるのでは。
(長男16歳・長女14歳・次男4歳)
孤立しないように
(長男13歳・長女11歳)
リビングから離れていると部屋にこもりやすい。親が一番いる時間の長いリビングからは絶対近いほうがコミュニケーションの面でもいいと思う。
(長男10歳・次男6歳)
リビングに近いと自然に家族の声も部屋に伝わると思います。近いと部屋にこもりきりにならないような気がします。
(長男9歳・次男6歳)
子供も親もお互いに気配を感じていたほうがいいと思うから。
(長男6歳・長女4歳)
陽あたりのよい
南側の部屋
健康的な生活習慣を身につける。
(長女29歳・次女25歳・三女19歳)
環境のいいところで、子供のいいところを伸ばしてあげたい。
(長男11歳・長女8歳・次男6歳・次女4歳)
やはり子供が元気でいてくれる事が一番です。太陽を浴びて、やる気いっぱいで起きて勉強して遊んで寝る!
(長男4歳)
主寝室の近く
どうしても暗くなる北側の部屋より、陽あたりのいい部屋の方が子供の気分もいいだろうし、明るい性格になると思う。
(長男4歳)
冬暖かい部屋は友達が来やすい。昼間いる子どもに日当たりのいい部屋を与えるのが一番。電気代の節約になる。
(長女14歳・長男12歳)
陽のあたりがいい部屋の方が太陽の光を感じたり、風を感じたり、自然を感じやすくなると思うので。
(長男28歳・長女24歳・次男20歳・三男11歳)
ドアの開け閉めの音で帰りの遅い時に解るから。
(長女22歳・次女19歳)
お互いに気配を感じ取れる距離と、子どものプライバシーを保てる距離を考えて。
(長男22歳・次女10歳)
就寝後も子どもの様子を間接的ではあるが感じていたいから。
(長男10歳・次男5歳)
今はリビング隣りに机を置いていますが、大きくなれば勉強に集中できるようテレビ等聞こえない所。寝る場所も気配がしていい。
(長男8歳・長女3歳)
リビングを1階・主寝室を2階にしたいので、本当ならリビングの近くがいいけど、夜心配だから。リビングの近くに小さな部屋があれば勉強部屋・趣味の部屋として利用したいです。
(長女6ヶ月)
その他
年齢に応じて違うと思う。
(長女19歳・次女17歳・三女15歳・四女13歳)
北側の部屋。落ち着く。キッチン近くがいいという意見があるが、基本的に水周りは静音シンクでもうるさい。油汚れが(油煙が)学習教材に付く。食事関係と勉強モノは親から見て、テイストが全く違う。
(長女11歳)
●子ども部屋はマイホームのどこに配置すればいい?
子ども部屋の設置場所は、「リビングの近く」が43%と最も高く、次いで「陽あたりのよい南側の部屋」(36%)、「主寝室の近く」(17%)という順になりました。
自由回答をみると、設置したい場所により、それぞれのミセスの想いをうかがうことができました。「リビングの近く」と回答したミセスは「お互いに気配を感じ、孤立する空間にしたくない」という想いがうかがえます。また「陽あたりのよい南側の部屋」と回答したミセスは、「明るく健康的な環境にしてあげたい」という想いが伝わってきます。
住居形態別にみると、持ち家一戸建て層、借家一戸建て層の戸建派は、「陽あたりのよい南側の部屋」という回答の比率がそれぞれ40%、55%と全体と比較して若干高くなっています。
逆に、持ち家マンション層、賃貸アパート・マンション・公団公営層の集合住宅派は「リビングの近く」という回答の比率が52%、51%と全体と比較して高くなっており、住宅全体の広さによる理由が考えられます。
3)
子ども部屋は、お子さんが何歳頃から必要であると考えますか?
子供のものを片付ける部屋がいるからリビングが子供のものであふれるから。
(長女8歳・長男6歳)
教科書など学校で必要なものが家中に散在しないためと、「自分のことは自分でする」という意識付け。
(長女11歳)
小学校に上がる時に机を買ったので本人の自覚を促すためにも必要と思いました。
(長女23歳・次女21歳)
小学校に行く頃には自分のことが少しずつ管理できるようにしたいから。
(長女11歳・次女9歳・長男5歳)
自分のことを自分でできるように、自立の準備として。
(長男5歳・長女0歳)
一個人としての、プライバシーが必要になるのと、責任を持って使う大切さと教える為。勉強はリビングでさせます。
(長女5歳)
個人の持ち物が増えてくるだろうし、自己管理とまではいかなくても意識を持つことは大事だと思うから。
(長男4歳・次男3歳)
女の子は小学校高学年から思春期が始まるので。同性なら中学卒業まで同じでもいいかも。
(長女14歳・長男12歳)
プライバシーをもつに値する年齢と思うから。
(長女12歳・長男9歳・次男6歳)
そろそろ1人の時間も必要。
(長男10歳・長女7歳)
女の子は小学校高学年から思春期が始まるので。同性なら中学卒業まで同じでもいいかも。
(長女14歳・長男12歳)
私も小学5年生から部屋をもらいとてもワクワクした思い出があります。お友達同士で遊べるようになってくらいがいいかなと思っています。
(長男5歳)
思春期まではオープンで良いと思うから。
(長男22歳・長女10歳)
中学生、高校生からで良い。
(長男16歳・長女14歳・次女10歳)
自己管理が身につくまでは、家族のコミュニケーションを大事にしたい。
(長男16歳・長女14歳・次男4歳)
独立心が芽生え始める時期だから。
(長女12歳・長男8歳)
小学校の間はだいたい親の意見を聞いて判断することが多いので子供も親も小学生の間はできるだけ同じ空間にいたほうがいいと思う。中学生くらいになると親に知られたくないことが増えてくるので一人になれる空間は必要だと思うから。
(長男10歳・次男6歳)
●子どもが何歳になったら「子ども部屋」が必要?
ミセスの考える子ども部屋の必要な年齢は、「7〜9歳頃」(31%)「10〜12歳頃」(31%)で、62%のミセスが小学生のうちに必要と考えています。中学生以上(「13歳以上」)という回答は26%で、反対に小学生以下(「6歳以下」)という回答は9%と少なくなっています。
「不要」という回答はわずか3%で、97%のミセスが子ども部屋は必要と回答しています。
家族構成別に見ると、子ども部屋が小学生の間に必要という回答の比率は、第一子未就学児層では67%、第一子小学生層では52%、第一子中学生層では40%と、第一子の年齢が低いほど、子ども部屋の必要時期が低くなる傾向が見受けられます。
反対に、子ども部屋必要時期が中学生以上という回答の比率は、第一子未就学児層では21%、第一子小学生層では36%、第一子中学生層では51%と、第一子の年齢が高いほど、子ども部屋の必要時期が高くなる傾向が見受けられました。
言語データからは、自立の準備やプライバシーをもつに値する年齢から子ども部屋を必要な時期を考えているミセスが多い反面、「子どもが自分で部屋がほしいというまではできるだけ一緒にいたい」という声もありました。
調査実施機関:住まいづくり研究所
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